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SDGsオープンラボ「いま企業に求められる環境経営」 第2回~環境経営 - ますます重みを増す企業評価~ 元環境事務次官 森本英香氏による講演

こんにちは。トランスコスモスSDGs委員会オープン社内報 記事担当の菅です。
 
2023年2月1日付で、トランスコスモスの環境経営アドバイザーに就任された元環境事務次官である森本英香氏にSDGsオープンラボ特別編として全4講のオンライン勉強会に登壇いただきました。


■企業がなぜ環境に取り組まなければならないのか


SDGsオープンラボ特別編の第2講は4月13日、「いま企業に求められる環境経営 ~ますます重みを増す企業評価~」と題して、環境の変化がこれからの企業を評価するための枠組み、「TCFD」について詳しく解説いただきました。
 
これまで企業経営にとって、「環境」はたくさんの取り組むべき一つの要素でしかありませんでしたが、今日では企業経営のど真ん中、優先課題の一つとして、世界中の企業でクローズアップされてきております。
なぜ今、環境経営に取り組む意味があるのか、そして環境経営とは何なのか、さらにそれをどうやって進めるのか、具体的な「温室効果ガス排出量(以下GHG排出量)の見える化」という手段について詳しく解説いただきました。
 
環境経営に取り組み意味については、まだまだ義務感や取り組まないと世間体が良くないというような消極的な取り組み姿勢の企業が多いようですが、今後はサステナビリティの取り組みがビジネスチャンスとなり、生産性の向上や投資対象として経営にプラスになるなど、徐々にフェーズが変わってきているとのことです。
 
企業が脱炭素経営に舵を切る理由は大きく2つあるとのことで、一つは「気候変動が企業のリスクであると同時にビジネスチャンスでもあること」、もう一つは企業の環境に対する評価が難しかったところ、「TCFD(Task force on Climate-related Financial Disclosures)」という枠組みができたことによって、取組を進めると数字によって可視化され、投資を呼び込むことができるようになったからです。

■TCFDとは? Scope1,2,3とサプライチェーン可視化


TCFDとは2017年6月にG20財務大臣や中央銀行総裁からの要請を受け、気候変動に対する財務的な影響について自主的な情報開示のあり方を定めた枠組みのことです。温暖化リスクを分析する枠組みであるだけでなく、企業がリスクを把握・評価して、経営戦略とリスク管理に反映させて、財務上の影響も開示する「能力」を表現するためのものでもあります。
投資家も、「検討の体制」や「開示の能力」も含めて企業を評価し、企業の非財務資産も含めた総合的な価値を見ることとなります。
TCFDへの取り組みについて、日本はまだ罰則がないソフトローと呼ばれる上場企業に限定された努力義務ですが、イギリスや台湾など、罰則が設定されている国も出てきているとのことでした。日本も有価証券報告書に記載が求められるなど、徐々に取り組みが広がってきており、今後も拡大することが予想されます。
 
さらに、TCFDでは具体的に、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」という4つの項目について、気候関連情報を開示するよう定めていますが、特に企業が目標値とする「指標と目標」の枠組みであるScope1,2,3の詳細な取り組みについて、実例を交えてわかりやすく解説いただきました。
Scope1,2,3では、企業におけるGHG排出量のうち、Scope1では自社の燃料の直接利用、Scope2では自社での電力の利用、Scope3では Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)、すなわちサプライチェーン全体の排出量を可視化する必要があります。
質疑応答では、特にこのScope3の排出量について、自部門ではどのような数字が関連するのか、取引先にどのような数字報告が求められてくるのか等をわかりやすく解説いただき、参加者社員の理解が進みました。
 

トランスコスモスは、2023年3月に情報開示をしており、2050年のカーボンゼロという目標に向けて、TCFDの取り組みをさらに進めていきます。
持続可能な社会を目指し、社員のみならず、お客様企業、共創パートナーの皆さんと一緒に実現していきたいと思います!


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