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サステナビリティに取り組むべき理由とSDGsとの違い・取り組み例

「最近よく耳にするサステナビリティとは?取り組む必要はあるの?」
「サステナビリティに取り組むべき理由は?なぜ今サステナビリティが求められているの?」

企業のホームページや報告書で目にする機会が増えた「サステナビリティ」。見聞きしたことはあっても「どのような意味なのか」「なぜ企業に求められているのか」分からない方は意外と多いのではないでしょうか。

サステナビリティ(sustainability)とは分かりやすく言うと、企業や社会の利益のみを追求するのではなく環境保護や社会問題に配慮し経済発展と両立させて持続可能な未来を目指す概念のことです。

「環境保護」「社会開発」「経済発展」の3つの柱で構成されており、全てを満たすことが求められています。

サステナビリティとは何か?

サステナビリティに取り組むと「企業価値の向上」や「従業員満足度の向上」などが実現でき、企業と投資家・従業員のどの角度から見てもいい企業を目指せます。
逆に今サステナビリティに取り組まなければ企業価値が低下し、生き残れない企業になってしまう可能性があります。

サステナビリティに取り組まないデメリット

サステナビリティに取り組まないことが「リスク」だと捉え、サステナビリティに関する知識を深めましょう。
そこでこの記事では、サステナビリティの概念や具体的な取り組み内容、サステナビリティに取り組むべき理由をご紹介します。後半ではサステナビリティに取り組む前に知っておきたい進め方にも触れているので必見です。
この記事を最後まで読めばサステナビリティとはどのような取り組みなのか理解でき、企業のビジョンや課題に応じて取り組めるようになります。
企業として持続的に成長していくためにも、サステナビリティに関する知識を深めておきましょう。

【この記事を読むと分かること】
・サステナビリティとはどのような概念なのか分かる
・サステナビリティの3つの柱が分かる
・サステナビリティとSDGs・ESGの違いが分かる
・企業がサステナビリティに取り組むべき理由が分かる
・企業がサステナビリティに取り組むときのステップや指標が分かる


1. サステナビリティとは

サステナビリティとは?

環境保護「限りある資源を大切にする」
・二酸化炭素や温室効果ガスの排出量を減らす
・廃棄物を減らす(フードロス対策・リサイクルなど)
・ペーパーレス化を推進する
・再生可能エネルギーを導入する
社会開発「誰もが公平に働ける社会を実現する」
・性別・年齢・国籍・障がいの有無などに囚われず多様な人材が活躍できる
・労働環境を改善する
・従業員のワークライフバランスや健康促進に配慮した制度を導入する
経済発展「企業価値の向上・事業創出につなげる」
・主要事業にサステナビリティの観点を取り込む
・サステナビリティと事業の親和性を見つけて新規事業を創出する
・サステナビリティに関する取り組み成果を公表して企業価値向上につなげる

サステナビリティ(sustainability)とは、地球環境・社会・経済のすべてが将来に渡り衰えることなく発展していく考え方です。
「Sustain(持続する)」と「Ability(能力)」を組み合わせた言葉で、日本語では「持続可能性」と訳しています。サステナビリティをもう少し分かりやすく考えてみると、企業や社会の利益のみを追求するのではなく環境保護や社会問題にも配慮し経済発展と両立させて、持続可能な未来を目指す概念を指します。例えば、みなさんが日常生活で使用する電化製品の製造過程を思い浮かべてみましょう。

持続可能な社会の課題

電化製品を製造するときに環境に配慮していないと、工場から大量の廃棄物が出ます。工場では効率よく電化製品を製造しなければならないため、多くの従業員が長時間労働をしています。
また、製造工程や使用過程では大量の廃棄物が出てしまいます。この状況を継続していくと、地球の環境や工場で働く従業員はどうなるでしょうか?
大量の廃棄物や温室効果ガスは、環境汚染の原因になります。
今はまだ地球で暮らせますが、将来的に快適に暮らせない地球になってしまうかもしれません。また、工場で長時間労働をしていた従業員には、不満やストレスが溜まるでしょう。
労働環境の悪化により人材が定着せず、深刻な人材不足に陥る未来が来るかもしれません。
このように、自社の利益のみを追求して経済活動をしていると、将来的に「経済活動ができなくなる」可能性があるのです。
そこで、社会が持続的に発展するために「環境に優しい」「働いている従業員や商品を使用する消費者に優しい」を両立できるよう一連の経済活動・企業戦略を見直しながら、経済発展につなげることが「サステナビリティ」です。

1-1.サステナビリティの歴史

サステナビリティという言葉が注目されるようになったのは、1987年に「環境と開発に関する世界委員会」が公表した「Our Common Future」がきっかけです。 

「Our Common Futureの概要」

 環境酷使・資源やエネルギーの過剰消費を背景とした未来の脅威(熱帯林の破壊や温室効果による気温の上昇など)から脱却するために、環境・資源基盤を保全しつつ開発を進める「持続可能な開発」の道程に移行する必要がある。

参考:環境省「『Our Common Future(邦題:我ら共有の未来)』(概要)」

 「Our Common Future」では環境と開発が共存できるものだと捉え、環境保全に配慮した経済発展が必要だと述べています。

 この考え方が1992年に開催された「地球サミット」で広まり、現在は環境問題視点だけでなく社会問題も視野に入れた概念になりました。 このように、サステナビリティはただ単に環境問題や社会問題に取り組む概念ではありません。環境問題や社会問題だけに注力していると、経済発展が滞り豊かさが失われてしまいます。
経済発展と環境問題・社会問題への取り組みを両立させて、持続可能な社会を目指すところが鍵となります。 

参考:外務省「持続可能な開発(Sustainable Development)」

 【サステナビリティは個人・企業に共通する概念】
 サステナビリティと聞くと「企業や国の取り組み」だと捉えがちですが、企業や国に留まらず個人でも行動できる概念です。
 サステナビリティを意識する個人が100人、1,000人、10,000人と増えていけば、持続可能な社会に変わっていきますよね。今回は企業向けの考え方や取り組みを中心に解説していきますが、個人的にサステナビリティに取り組んでみることも価値のある行動です。

2.サステナビリティの3つの柱

サステナビリティの3本の柱

冒頭でも触れたように、サステナビリティには「環境保護」「社会開発」「経済発展」の3つの柱があります。なぜ3つの柱が必要なのか、企業ではどのような取り組みができるのか確認してみましょう。

サステナビリティを実現するための3つの柱

①環境保護「限りある資源を大切にする」
・二酸化炭素や温室効果ガスの排出量を減らす
・廃棄物を減らす(フードロス対策・リサイクルなど)
社会開発「誰もが公平に働ける社会を実現する」
・性別・年齢・国籍・障がいの有無などに囚われず多様な人材が活躍できる
・労働環境を改善する
経済発展「企業価値の向上・事業創出につなげる」
・主要事業にサステナビリティの観点を取り込む
・サステナビリティと事業の親和性を見つけて新規事業を創出する

2-1.環境保護:限りある資源を大切にする

環境保護

環境保護とは、限りある資源を大切にするために行う環境負荷に配慮した取り組みのことです。現在地球は、多くの環境問題を抱えています。

【環境問題の一例】
 ・気候変動:温室効果ガスなどの影響を受けて気候変動(温暖化・干ばつなど)が起きている
・森林破壊:森林の伐採により砂漠化・動植物の住む環境の破壊などが起きている
・オゾン層の破壊:経済活動によりオゾン層が破壊されて生物への悪影響が出ている

例えば、森林破壊は、経済活動により地球上の森林を伐採することです。
このまま森林破壊が続くと豊かな自然がなくなり、生物多様性(動植物の食物連鎖)の破壊や環境汚染が拡大するでしょう。
地球上にある資源は有限です。環境に配慮して経済活動をしないと、将来的に人間が暮らせない環境になるかもしれません。
人間の身勝手な行動で環境を破壊するのではなく、環境負荷を軽減しながら持続可能な未来を目指し経済活動を行うことが求められています。
具体的な取り組み内容は多岐に渡りますが、一例として下記の取り組みが検討できるでしょう。

製造業
・工場や自動車などの温室効果ガス排出量を減らす(電気自動車の採用など)
・原料調達にリサイクル素材を使用する(原料に古紙を使用するなど)
小売業
・企業活動で出る廃棄物を減らす(簡易包装にするなど)
・リサイクルを念頭に置いた事業展開をする(空ボトル回収・衣類の回収など)
・従来は廃棄していたものを低価格で提供し廃棄を減らす(規格外野菜・スイーツの販売など)
・廃棄を減らすために無駄な在庫を抱えない(在庫管理システムを導入するなど)
全業種共通
・植林活動を行う
・書類のペーパーレス化を推進する
・事業活動で得た収益の一部を環境保護に活用する(継続した寄付をするなど)
・再生可能エネルギーを導入する(太陽光発電など)
・環境問題に関する考えや取り組みを情報発信する
・省エネ技術を導入する(雨水を再生利用するなど)
・節電を実施して企業で使用するエネルギー量を減らす
・エネルギーを事業間で共同利用する

製造業の場合は、製造過程で排出される温室効果ガスや二酸化炭素、廃棄物などが課題になりやすいです。工場設備や輸送過程を見直して、環境負荷を軽減できる仕組みづくりが必要になるでしょう。
 
小売業の場合は、大量生産大量消費から脱却するサービス提供や事業展開が検討できます。例えば、商品提供時に必要な梱包やパッケージを簡易的にする、使用後に回収するなどの取り組みができるでしょう。
 
また、再生可能エネルギーの導入や省エネ対策などは業種問わず取り組みやすいです。最近は企業間で電気、ガス、水などのエネルギーを相互利用して、無駄なエネルギー消費を抑える取り組みも見られます。社会を取り巻く環境が悪化している中で、企業活動は従来のまま継続できるわけがありません。
経済活動を行う社会的責任として、環境にかかる負荷を減らす取り組みが求められています。

\トランスコスモスでは植林活動「トランスコスモスの森」に取り組んでいます/
トランスコスモスでは環境保全のための植林活動「トランスコスモスの森」に取り組んでいます。
2023年12月には沖縄県八重瀬町スポーツ観光交流施設で植樹を実施しました。植樹の様子は下記で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
トランスコスモスの森 in 沖縄 環境保全活動として八重瀬町で植樹を実施しました!
 
トランスコスモス沖縄センターでは植樹以外にも環境に配慮した取り組みをしています。環境に関する取り組みの例としてぜひ参考にしてみてください。 
トランスコスモス沖縄センターの環境活動の取り組み

2-2.社会開発:誰もが公平に働ける社会を実現する

社会開発

社会開発とは、すべての人がより良い生活を送るための取り組みのことです。医療や教育、労働、雇用など人がより良い生活をするための幅広い基盤の開発、調整が該当します。1990年代から世界では経済活動を優先するあまり、下記のような問題が浮き彫りになってきました。

【社会開発の問題の一例】
・貧富の格差の拡大
・労働環境の悪化
・医療や教育などの機会提供の格差
・雇用や教育における差別

企業の場合は少子高齢化に伴い、将来的に人材不足に直面する可能性があります。
その中で偏った採用方法や劣悪な労働環境を改善しないと、持続的な成長が難しいでしょう。 
まさにサステナビリティでは、労働環境の整備や多様な人材が伸び伸びと働ける環境などの社会開発も求められているのです。 
社会開発の取り組み内容も多岐に渡りますが、一例として下記のような取り組みを検討できます。

労働環境の整備
従業員が伸び伸びと働けるように業種に応じて労働環境を整備する
例:パソコンの支給・オフィス環境の改善など
ダイバーシティの尊重
人種・年齢・性別・価値観など様々な違いのある従業員が組織に共存するための制度や体制を整える
例:障がい者の雇用・性別や年齢のみでの昇進制度の廃止など
ワークライフバランスの改善
仕事とプライベートの両立がしやすいようにワークライフバランスを改善する取り組みをする
例:有給休暇率の向上・テレワークの推進など
健康促進
従業員が心身ともに健康な状態を維持できるようにサポートする
例:人間ドック受診率の向上・電話相談窓口の設置
福利厚生の充実
従業員のニーズに応じて誰もが公平に利用できる制度を設ける
例:残業制限制度・リフレッシュ休暇制度
成長機会の提供
従業員の目標や希望に応じて公平に成長機会を設ける
例:社内研修やセミナーの実施・資格取得補助制度

とくに昨今注目されているのは「ダイバーシティの尊重」と「ワークライフバランスの改善」の2つです。
ダイバーシティとは人種・年齢・性別・価値観など様々な違いのある従業員が組織に共存する状態を指します。多様な人材が力を最大限に発揮するには、企業の風土改革や制度の整備が欠かせません。今まで外国国籍の従業員がいなかった、パートタイムの従業員がいなかった場合には、このような人材が不安や不平等さを感じることなく勤務できる調整が必要です。また、ワークライフバランスの改善では、仕事だけでなくプライベートや家庭も充実できる制度や配慮が求められます。例えば、子育てや介護と仕事を両立している従業員は時短勤務やテレワークを選択できるなど、無理なく仕事を継続できる制度の導入が検討できます。企業が社会開発に取り組むことで、従業員満足度の向上や従業員の能力を最大限に発揮できる環境整備が期待できます。その結果、従業員から選ばれる企業となり、目先の利益だけでなく将来的な利益も創出しやすくなるでしょう。

\トランスコスモスは多様性を尊重する企業を目指しています/

トランスコスモスはすべての従業員が自分らしく働ける環境を目指し、社会開発にも積極的に取り組んでいます。
 2023年11月7日には職場でのセクシュアル・マイノリティへの取り組みを評価する「PRIDE指標2023」で「シルバー」を受賞しました。 
職場におけるLGBTQに関する取り組みで「PRIDE指標2023」シルバー受賞!
 
同じく2023年には障害者雇用エクセレントカンパニー賞(東京都知事賞)」を受賞しました。障がいの有無にかかわらずすべての社員が共に働き、個性と実力を発揮できる職場環境の構築が評価されたものです。
 
障害者雇用エクセレントカンパニー賞(東京都知事賞)を受賞しました!
 
このように、トランスコスモスは多様性を尊重する企業を目指して、様々な取り組みを実施しています。

2-3.経済発展:企業価値の向上・事業創出につなげる

企業価値の向上

経済発展とはサステナビリティに取り組むことを企業戦略の一環として捉え、企業価値の向上や利益拡大につなげることです。
「4.企業がサステナビリティに取り組むべき理由」で詳しく解説していますが、今やサステナビリティに取り組む企業は投資家・消費者・従業員・企業の全方向から好印象を持ってもらえます。逆と言うとサステナビリティに取り組まず自社の利益のみを追求している企業は、競争力が落ち継続的な成長が見込めなくなるのです。
企業戦略の一環としてサステナビリティに取り組む方法は多岐に渡りますが、下記のような戦略が検討できます。

成果を公表する
企業のホームページや報告書でサステナビリティに関する取り組み成果を公表して社外評価を得る
主要事業にサステナビリティの観点を取り込む
主要事業にサステナビリティに関する視点を取り入れる
例:再利用できる素材を使う・包装を簡略化する
新規事業を創出する
サステナビリティに関する新規事業を創出する
例:大量生産大量消費から脱却するサービスを提供する(靴やバッグのレンタルサービスなど)
企業や地域との連携
他の企業や地域と連携をして企業価値を高める
例:地域と連携した植林活動をする・他企業と連携してリサイクルを推進するなど

冒頭でも述べましたが、サステナビリティは経済活動と環境・社会活動の両立が重要です。そのため、サステナビリティと事業を切り離して考えるのではなく、新規事業や主要事業の中にサステナビリティの観点を取り入れるといいでしょう。例えば、小売業の場合は消費者に商品を提供する際の梱包の簡略化・廃棄ロス活動などすると、環境に配慮した企業というブランディングができます。その成果を数値にして公表すると、企業価値の向上や利益拡大につながる可能性があります。

3.サステナビリティとSDGs・ESGの違い

サステナビリティとESGの違い

サステナビリティの具体的な取り組み内容が理解できたところで「サステナビリティと併せてよく聞くSDGsやESGとどこが違うの?」と気になっている方もいるかと思います。
簡単に言うと、サステナビリティはESGやSDGsを包括する大きな概念です。サステナビリティを実現するためのフレームワークとして「SDGs」や「ESG」が使えます。サステナビリティとSDGs、ESGは取り組む内容は似ている部分もありますが、考え方や対象者に違いがあるので、理解しておきましょう。

サステナビリティとESG、SDGs
サステナビリティ、ESG、SDGsの違い

3-1.SDGsは2030年までに持続可能でよりよい世界を実現するための目標

SDGsとは

【SDGsの17のゴール】

SDGs 17のゴール

参考:外務省「SDGsとは?」

例えば、サステナビリティを意識して環境問題に取り組みたいとしましょう。具体的な目標としてSDGsの15のゴール「陸の豊かさも守ろう」を設定し、森林減少を食い止めるために植林活動を検討できます。
企業のホームページではサステナビリティの取り組みの一環として「SDGsのゴール15に取り組んでいます」と公表し、サステナビリティとSDGsの双方に貢献しているとアピールすることも可能です。
ただし、注意しなければならないのは、SDGsには期限がある点です。サステナビリティの目標として活用はできますが、期限が設けられていることに気をつけながら検討する必要があるでしょう。

\「トランスコスモスSDGs委員会」を設けてSDGsを推進しています/
トランスコスモスでは、「トランスコスモスSDGs委員会」を設けてSDGsを推進しています。 
トランスコスモスの事業・経営資源とSDGsとの関係性を整理し、とくに重要性の高い社会課題を優先的に目標設定しています。 
定期的な達成状況の確認を行う専任組織として「トランスコスモスSDGs委員会」を設置し、SDGs活動の啓蒙と定着を図っています。 
具体的な取り組み内容は、下記をチェックしてみてください。
SDGsへの取り組み

3-2.ESGは投資や企業価値向上に活用するフレームワーク

ESGとは

ESGはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)を考慮したフレームワークです。 
環境・社会・ガバナンスの3つ要素から分かるように、サステナビリティを実現するフレームワークの1つとして活用されています。
 
環境(Environment)
気候変動や大気汚染、資源枯渇など環境に関した取り組み
例:ペーパーレス・二酸化炭素排出量の削減・光熱費の削減など
社会(Social)
ダイバーシティ・労働環境・労務管理など社会問題に関する取り組み
例:障がい者の雇用・テレワークの推進・労働時間の最適化など
ガバナンス(Governance)
コーポレートガバナンスやリスクマネジメントなど企業統治に関する取り組み
例:BCP対策・社外取締役の設置など

ESGがサステナビリティやSDGsと大きく異なる点は、対象者です。
 ESGは、企業価値を図るための非財務資本(財務諸表には記載されない資本のこと)として投資家に活用されている背景があります。
 そのため、誰もが取り組む内容ではなく、投資家などの外部評価を得たい企業がサステナビリティの取り組みを可視化する手段として活用しています。
 
例えば、サステナビリティに取り組んでいる企業が投資家からの評価を得たいとしましょう。
このときに自社のサステナビリティに関する取り組みをESGの3つの要素に分けて可視化すると、ESG指標として公表できます。
 
このように、ESGは非財務資本の指標としてサステナリビティの取り組みを公表したい企業に活用されているフレームワークだと言えるでしょう。
 
【SDGsを実現する手段としてESGを活用できる】
 サステナビリティの取り組みをするときに「ESGとSDGsのどちらにも貢献したい」と思う方もいるでしょう。 
ESGとSDGsは手段と目標の関係性なので、SDGsを達成する手段としてESGを活用できます。 
例えば、SDGsの「ジェンダー平等を実現しよう」を達成する手段として、ESGの「社会」で具体的な方針を定め取り組むことが可能です。

4.企業がサステナビリティに取り組むべき4つの理由

企業がサステナビリティに取り組むべき理由

ここまで解説してきたように、サステナビリティは持続可能な社会を実現するために欠かせない取り組みです。 
経済活動を行う企業が社会的な責任を果たすためにも、経営の根幹として必要な要素となりつつあります。 
ここでは、なぜ企業がサステナビリティに取り組むべきなのか具体的な理由をご紹介します。前向きにサステナビリティに取り組むためにも、事前に背景を理解しておきましょう。
 
企業がサステナビリティに取り組むべき4つの理由
1)有価証券報告書でサステナビリティ情報の開示が求められるようになった
2)企業価値が向上する
3)従業員満足度が向上する
4)新しい事業創出につながる

4-1.有価証券報告書でサステナビリティ情報の開示が求められるようになった

2023年1月に「企業内容等の開示に関する内閣府令」が改正し、有価証券報告書の記載項目に「サステナビリティに関する考え方及び取り組み」が追加されました。 
この項目では企業がサステナビリティに関して独自性・透明性を持ち長期的な取り組みができているのか、投資家や有識者が確認できるようになりました。
 
【サステナビリティに関する考え方及び取り組みの記載事項例】
 ・サステナビリティに関する戦略
・長期的な目標や制度の提示
・取り組み成果の公表
・サステナビリティの取り組みに関するリスクの提示
・サステナビリティに関する取り組みプロセスの可視化
・サステナビリティに取り組むうえでの推進体制
参考:金融庁「有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組の開示例」
 つまり、投資家や有識者は財務資本だけでなく「サステナビリティに関する考え方及び取り組み」などの非財務資本にも価値を感じ注目しているのです。

財務資本 企業の売上・負債・株主資本などの金銭的な資本
非財務資本 財務諸表に表示されない企業の価値・情報
製造資本・知的資本・人的資本・社会・関係資本・自然資本が含まれる

非財務資本は企業の価値や考え方など質的な成長が反映されるので、長期的な指標として価値があると考えられています。サステナビリティの取り組みができていない場合は情報開示ができず、企業の価値が低下します。それだけでなく、競合他社やサステナビリティに関する取り組みをしている企業と同じベースでコミュニケーション・情報比較ができず、企業の持続的な成長が見込めなくなるでしょう。
非財務資本は企業の価値や考え方など質的な成長が反映されるので、長期的な指標として価値があると考えられています。 サステナビリティの取り組みができていない場合は情報開示ができず、企業の価値が低下します。 
それだけでなく、競合他社やサステナビリティに関する取り組みをしている企業と同じベースでコミュニケーション・情報比較ができず、企業の持続的な成長が見込めなくなるでしょう。
 このように、企業が開示するべき情報の1つにサステナビリティが組み込まれたことで、経営の根幹として必要な要素になったと言えます。
 
参考:金融庁「サステナビリティ情報の開示に関する特集ページ」
 
【国内外でサステナビリティ関連情報を開示する動きが高まっている】
 日本での「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正によるサステナビリティ関連情報開示に留まらず、国内外で開示要請をする動きが高まっています。 
今後は国内外の投資家や有識者への評価指標として、より大きな価値を持つと考えられます。 
そのときにサステナビリティに関する取り組みを開示できないと評価が低下する恐れがあるので、今のうちからサステナビリティに取り組むべきでしょう。

4-2.企業価値が向上する

サステナビリティの取り組みは、企業価値の向上に貢献します。
企業(管理職や従業員)・投資家・消費者のどの立場から見ても魅力的な企業を実現できるからです。

企業
管理職:自社の存在価値や社会的役割を高められる企業成長の機会になる
従業員:企業の取り組みに誇りを持てる
投資家
企業の成長性や持続性を図ることができ前向きに評価しやすい
消費者
環境や社会に配慮している企業に信頼性や安心感を持つ傾向がある

とくに昨今の消費者は企業のサービスや商品そのものだけでなく、企業のサステナビリティに取り組む姿勢を確認して購入を決断する傾向が強くなっています。 
経済産業省が公表している調査では、消費者の8割以上がプレミアム価格(通常価格よりも高価格)を支払ってでもサステナビリティに考慮した商品を購入したいと回答しています。 
市場が成熟して商品やサービスの価値だけでは差別化が難しくなっているからこそ、消費者は企業のサステナビリティに関する対応や取り組みにも注目しているのです。 
このように、サステナビリティに取り組むことで消費者や投資家、企業の従業員がいいイメージを持ちやすくなり、企業価値が向上します。 
その結果、企業利益の拡大や持続的な成長につながるため、サステナビリティに関する取り組みのメリットは大きいです。

4-3.従業員満足度が向上する

サステナビリティの取り組みは、従業員満足度の向上にもつながります。
 「2.サステナビリティの3つの柱」でも触れたように、社会開発では企業内の環境や制度の見直しを推進します。 
多様な人材が活躍できる制度や従業員の働きやすい環境などを整えるため、従業員の意見や考えを取り入れながら働きやすい環境を実現できるでしょう。

家事と育児、介護と仕事との両立が大変
・柔軟な働き方への対応(時短勤務・シフト制など)
・子の看護・家族の介護休暇制度の導入
・仕事と子育て両立支援イベントの実施
一部の従業員にしか成長機会がない
・若手社員・女性社員・中間管理職・シニア社員など世代に応じた研修制度の充実
・一人ひとりの目標に応じた研修の提案
・誰もが納得できる人事評価制度の設定
個性やハンディが尊重させるか心配
・一人ひとりの個性や考えを尊重する風土の形成
・業務をするうえで壁となる部分を公平性を持ち調整する
(障がいのある方には使いやすい用具を提供するなど)
・個性や多様性に関する研修の実施
・相談窓口の設置

例えば、家事と育児の両立に課題を抱えている従業員が多い場合は、サポートする制度を整えることで無理なく働けるようになります。
 その結果、従業員の満足度が向上するのはもちろん、持てる力を最大限に発揮できるようになるでしょう。 
企業の貴重な人材活用と企業成長の両立ができ、持続可能な企業を目指せます。
一例として、トランスコスモスでは持続可能な働き方を目指す「Well-being」に取り組んでいます。
 
【トランスコスモスの持続可能な働き方の取り組み一例】
 ・多様で柔軟なシフト勤務体制
・フレックスタイム制や在宅勤務制度、副業制度の導入
・有給休暇取得促進
・復職支援プログラムの実施
・育児や介護などとの両立支援制度(時差出勤制度・特別休暇制度など)
・ワークライフバランス促進イベントの実施
・心の健康サポートの実施
 
トランスコスモスは福岡市の「福岡市Well-being&SDGs登録制度」にマスター登録もしており、サステナビリティの取り組みの一環として従業員の働きすい環境を整えています。 
「福岡市Well-being&SDGs登録制度」については下記でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
福岡市 Well-being & SDGs登録制度にマスター登録
 
【サステナビリティの取り組みは人材確保にもつながる】
 日本は少子高齢化社会を迎え、労働人口不足が深刻化しています。
 企業の持続的な発展には優秀な人材確保が欠かせませんが、サステナビリティの取り組みは採用にも好影響を与えます。 
ミレニアル世代(1980年〜1990年代半ばに生まれた世代)・Z世代(1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代)は環境や社会問題への意識が高い傾向があり、就職時にサステナビリティの取り組みを判断材料の1つにしています。 
サステナビリティの取り組みを推進することで優秀な人材を獲得しやすくなり、将来に渡り企業が成長できる基盤を構築できるでしょう。

4-4.新しい事業創出につながる

サステナビリティの取り組みは、新しい事業創出にもつながります。 
4-2.企業価値が向上する」でも触れたように、企業や投資家だけでなく消費者もサステナビリティに関する関心が高くなっています。 
視点を変えるとサステナビリティと自社の事業の親和性が高い領域に、新しいビジネスチャンスが眠っている可能性があるのです。
 経済産業省が公表している新市場が期待されるSDGsに関連したビジネス分野は、下記のとおりです。 

食料と農業
食品廃棄物の削減に関する技術
都市
エネルギー効率の高い建物市場
電気自動車・ハイブリッド自動車
エネルギーと原材料
サーキュラービジネス(資源投入量・消費量を抑えストックを有効活用する取り組み)
再生可能エネルギー
健康と福祉
遠隔医療
保険市場
参考:経済産業省「サステナブル・インクルーシブな未来社会に向けた企業行動への期待の高まり」
 
例えば、食料と農業では、環境負荷を軽減するために食品廃棄物を削減する技術やサービスが注目されています。 
実際にサステナビリティに貢献する下記のような事業展開をしている企業も出てきています。

【サステナビリティに貢献する取り組みの一例】
・規格外の食品を減らす仕組みを導入する
・商品や容器を再開発して賞味期限を伸ばす(食品ロスが減る)
・製造時に出る廃棄物を肥料にする仕組みを整える
 
市場の変化が激しい時代に、企業はニーズに応じた価値を提供し続けなければなりません。
サステナビリティは企業の新しい事業を創出する場としても期待されています。

5.企業がサステナビリティに取り組む5つのステップ

サステナビリティ実現のステップ

ここでは、企業がサステナビリティに取り組むときの5つのステップをご紹介します。サステナビリティは長期的な取り組みなので、全体像を理解したうえで計画的に取り組むことが大切です。自社ではどのようにサステナビリティを推進すればいいのか参考にしてみてください。

5-1.自社の課題・ビジョンに合う目標を設定する

まずは、自社の課題やビジョンに合うサステナビリティの目標を設定します。
2.サステナビリティの3つの柱」でも触れましたが、サステナビリティに関する取り組みは多岐に渡ります。闇雲に目標を設定すると形骸化して企業にとって価値のない取り組みになってしまうので、次の3つのポイントを意識してみてください。
 
【目標を設定するときのポイント】
1)自社のビジョンや課題を解決できる目標を設定する
2)自社の事業と親和性の高い目標を設定する
3)目標には優先順位を付けて実現できそうか検討する

 
1つ目は、自社のビジョンや課題を解決できる目標を設定することです。 
例えば「地球と社会に優しい企業を目指す」というビジョンがあった場合は、環境負荷の軽減や地域貢献が企業の果たす役割に該当するでしょう。
 企業のビジョンや課題と離れた目標を設定すると実践しにくくなる可能性があるので、できるだけ「自社だからこそできること」を検討してみてください。
 
2つ目は、事業と親和性の高い目標を設定することです。 
2.サステナビリティの3つの柱」や「4-4.新しい事業創出につながる」でも触れましたが、サステナビリティは経済活動と環境・社会問題の解決を両立して、持続可能な社会を目指すことが重要です。 
サステナビリティを重視するあまり経済活動が疎かになっては意味がないので、自社の事業を通して実現できることや事業から生み出せる新しい価値に着目してみてください。
 
3つ目は、目標には優先順位を付けて実現できそうか検討することです。
 現在様々な企業がサステナビリティに関する取り組みをしていますが、環境問題から労働環境の改善、地域貢献まで目標を複数設定しているケースがほとんどです。 
複数の目標があると実現できるか不安になるので、優先順位を決めてどのように推進するのかイメージを持つことが重要です。
 
【ポイント:数値化できる目標は数値化しよう】
 目標を立てるときにはできるだけ「数値化」をして成果を可視化しやすい状況を作っておきましょう。 
例えば「二酸化炭素の排出量を削減します」と目標を立てたとしましょう。
この状況では二酸化炭素の排出量削減に取り組んだとしても、本当に削減できているのか外部に納得感を持ち公表できません。 
「何年までに〇%削減する」など数値化した目標を立てて、企業の取り組み成果を伝えられるようにするといいでしょう。

5-2.目標を実現するために必要な行動を考える

サステナビリティに関する目標が設定できたら、目標を実現するための具体的な行動を考えます。「電気使用量を〇%削減する」と目標を立てても、どのように動けばいいのか分からないと社内の風土や行動が変わりません。
サステナビリティは企業全体が一丸となって取り組むものなので、誰がどのような行動を起こすべきか明確にしておくことが大切です。
具体的な行動を検討するときには、下記の視点で考えるといいでしょう。

組織や体制
サステナビリティに取り組める組織の設立など企業内でサステナビリティを推進できる体制を整える
設備
サステナビリティを推進するために設備投資する
例:太陽光発電設備を設置する
例:二酸化炭素の排出量を測定する機器を導入する
制度
サステナビリティを推進するために企業の制度を見直す
例:ワークライフバランスを改善するために特別休暇制度を設ける
例:多様な人材を雇用するために雇用形態や雇用制度を変える
ルール
サステナビリティを推進するために企業のルールを見直す
例:容器回収をするために消費者への声がけをする
例:冷暖房の温度設定を見直す
研修
サステナビリティを推進するための知識を深める研修をする

例えば、従業員満足度の向上に取り組む場合は、制度やルールを設けて従業員が一定の基準に従い行動できるように整備します。
廃棄物の減少や二酸化炭素の排出量の減少などルールのみの取り組みでは改善が難しい領域は、設備投資も念頭に置く必要があるでしょう。 
このように、サステナビリティを推進する具体的なアクションを起こせるように、企業の整備や制度、ルールなどを見直していきます。
 
【ポイント:サステナビリティを推進する運営体制を整えよう】
 先ほども触れたように、サステナビリティに関する取り組みは組織が一丸となり長期的に取り組む必要はあります。 
トランスコスモスでは代表取締役会長が委員長を務める「トランスコスモスSDGs委員会」を中心にサステナビリティを推進しています。 
長期的に目標達成に向けて取り組める基盤を整えるためにも、企業内の運用体制も整えるようにしましょう。

5-3.上層部が積極的に情報発信する

サステナビリティに関する取り組みを推進できる状況が整ったら、サステナビリティの必要性や目標を上層部から積極的に発信しましょう。 
サステナビリティに関する取り組みを開始するときに難所となるのは、従業員の足並みを揃えることです。 
従来は環境問題や社会問題に関する取り組みは業務と切り離して、奉仕活動として取り組む傾向がありました。 
そのため「なぜ企業が積極的に取り組まなければならないのか」「業務の一環として取り組む意味はあるのか」など、サステナビリティの必要性を理解できていない従業員は意外と多いのです。 
サステナビリティの必要性や取り組みの意義を理解できないまま推進しても、従業員のやらされる感が抜けず思ったような成果が出ない可能性があります。 
そのため上層部から下記のようなメッセージを定期的に発信して、企業がサステナビリティに取り組む意義や価値を浸透させることが重要です。
 
【上層部から情報発信するといいこと】
 ・サステナビリティに関する取り組みの必要性や意義
・サステナビリティに関する自社の考え方
・サステナビリティに関する自社の目標
・サステナビリティに関する取り組みの様子
 
サステナビリティに関する関心や薄い場合や企業風土が構築できていない場合は、研修やセミナーを実施して知識を深めていくことも1つの方法でしょう。企業全体が一丸となり足並みを揃えてサステナビリティに取り組めるように、企業内での情報発信にも注力してみてください。
 
【ポイント:サステナビリティに関する取り組み成果も積極的に共有しよう】
サステナビリティに関する情報発信をするときは、取り組み内容だけでなく成果も共有するといいでしょう。 
例えば、企業でペーパーレス化に取り組んでいる場合「従業員の取り組みによってコピー用紙利用を30%削減できた」などの成果を共有できれば、モチベーションアップにつながります。 
日々の小さな心がけがサステナビリティの成果に貢献していることを積極的に伝え、企業内でのサステナビリティの取り組み価値を高めていきましょう。

5-4.サステナビリティの成果を可視化し公表する

サステナビリティに関する取り組みを開始したら、できるだけ成果を可視化して公表しましょう。 
4.企業がサステナビリティに取り組むべき理由」でも触れたように、消費者や投資家、有識者にアピールするポイントになるからです。 
公表する方法に明確なルールはありませんが、下記のように自社の公式ホームページや報告書などで公開していることが多いです。
 
【サステナビリティの成果を可視化する方法】 
・公式ホームページに「サステナビリティに関する取り組み」などを設けて公開する
・自社の統合報書に記載する
・サステナビリティレポートを作成して公開する
 
投資家や有識者向けに成果を公開したい場合は下記の指標などを活用しながら、データ管理しやすい状態で公開するといいでしょう。

GRIスタンダード
経済・環境・社会に与えるインパクトを公開し、持続可能な発展への貢献を説明するために用いる指標
SDGインパクト基準
SDGsの取り組みを投資家や事業者の意思決定に活用するための基準

【ポイント:サステナビリティデータを収集できる環境を整えよう】
 サステナビリティの成果を可視化するには、成果データを収集する環境を整えることが大切です。
どのようなツールや方法を使いデータを収集、管理するのかサステナビリティ関連データの運用体制も整えていきましょう。 
トランスコスモスでは下記のようなツールを用意して、サステナビリティに関する取り組みのデータ可視化をサポートしています。
 
▼女性管理職比率や男性の育児休業取得率など人的資本情報を可視化する「HCMアナリティクスプラットフォーム」
トランスコスモス、人的資本情報開示の義務化を支援する「HCMアナリティクスプラットフォーム」サービスの提供を開始
 
▼GHG排出量データ収集・算定を自動化できるサービスを提供
トランスコスモス、GHG排出量データ収集・算定を自動化するサービスを提供開始。担当者工数を97%削減

5-5.長期的に取り組み社内の風土を変えていく

サステナビリティに関する一連の取り組みができるようになったら、長期的に取り組めるように社内風土を変えていきましょう。
 そもそもサステナビリティは持続可能な社会を目指す長期的な取り組みです。目標達成できたら終わりではなく、目標達成後に見えてきた課題・さらに取り組めることを常に考えながら社内風土として定着させていきましょう。
社内風土として定着させるためには設定した目標に向けて継続的に取り組むのはもちろん、下記のようなプラスアルファの活動も視野に入れてみてください。
 
【企業風土としてサステナビリティを定着させる取り組み例】
 ・社内でサステナビリティに関するコミュニケーションを活性化する(社内掲示板の利用など)
・定期的に研修やセミナーを実施して知識を深める
・サステナビリティに関する情報を積極的に発信する
 
例えば、社内でサステナビリティに関するコミュニケーションを図れる場が増えると、各部署の取り組みや個人的な取り組みが企業内に浸透していきます。サステナビリティを一時的なムーブメントで終わらせないためにも、普遍的な取り組みになるよう工夫をすることが重要でしょう。
 
【ポイント:サステナビリティに関する発信を継続しよう】
 サステナビリティに関する情報発信を報告書やサステナビリティレポートなどに限定しないで、社内の取り組みを定期的に発信することも風土構築につながります。
トランスコスモスではSDGsを通じ会社を好きになった人達が社史を紐解き、おもしろいことを発信する「オープン社内報」に取り組んでいます。
 各エリアのサステナビリティに関する取り組みや研修実施報告などを行い、サステナビリティに関する意識を高めています。
 オーブン社内報は下記よりご覧いただけますので、ぜひ目を通してみてください。
トランスコスモスSDGs委員会「オープン社内報」


6.トランスコスモスではサステナビリティに取り組んでいます

トランスコスモスのサステナビリティ

ここまで解説してきたように、サステナビリティに関する取り組みは経済活動をする企業の社会的役割の1つです。 
企業が価値を高めて持続的な成長を遂げるためにも、積極的に取り組むことが求められています。 
私たちトランスコスモスは、人にも地球にも平等に優しい未来を目指してサステナビリティに関する取り組みをしています。 
代表取締役会長が委員長を務める「トランスコスモスSDGs委員会」を中心に「One transcosmos」としてサステナビリティを推進しています。 
ここでは、トランスコスモスのサステナビリティに関する取り組みをピックアップしてご紹介します。
サステナビリティに真剣に取り組む姿勢を感じていただければと思います。
 
トランスコスモスのサステナビリティの取り組み
1)「サステナビリティ基本方針」を制定
2)「トランスコスモス人権方針」を制定
3)環境に関する研修を積極的に実施

6-1.「サステナビリティ基本方針」を制定

トランスコスモスは事業の原点として「people & technology」を掲げています。私たちの事業にとって「人」はかけがえのない存在です。 
事業を通じてすべてのステークホルダーの充実や幸せ実感の向上を目指し、「サステナビリティ基本方針を定めています。

サステナビリティパーパス
Well-being社会の実現を目指し、社会・お客様企業・個人、それぞれのWell-beingの最大化を目指します
社会のWell-being
気候変動、生物多様性、ビジネスと人権、社会的公正性など、お客様企業とともに、社会のWell-beingの最大化を目指します
お客様企業のWell-being
お客様企業のビジネスの拡大、業務プロセスの最適化、お客様企業における顧客満足度の向上など、お客様企業の持続的な発展に寄与し、Well-beingの最大化を目指します
個人のWell-being
最先端技術の習得、健康経営、DE&I、人権の尊重など、従業員のWell-beingの最大化を目指します

サステナビリティ基本方針に基づき「トランスコスモスSDGs委員会」が施策の企画立案・審議・決議を行い、サステナビリティの取り組みを推進できる環境を整えています。

6-2.「トランスコスモス人権方針」を制定

トランスコスモスでは、「サステナビリティ基本方針」の考え方に基づき2023年7月1日に「トランスコスモス人権方針」を制定しました。
 企業活動のすべての場面においてステークホルダーの方々の人権を尊重することを宣言し、下記のような方針を推進していきます。

トランスコスモス人権方針」の概要 
1)国際基準の支持・尊重:事業を行うすべての国において関連法規を遵守し国際的に認められた人権と各国・地域の法令などに矛盾がある場合には、国際的な人権原則を尊重するよう努めます。
2)人権方針の対象範囲:トランスコスモスのすべての事業活動・役員・従業員に適用されます。
3)推進体制:人権リスクマネジメントに関しては、取締役会が監督責任を負い、当人権方針へのコミットメント及びその遵守に関する重要事項の決定や取組に関する継続的なチェック機能を担います。
4)人権課題の特定:外部専門家、従業員やお取引先、地域社会などの関連するステークホルダーとの対話を継続的に行い、固有の人権課題を特定し、対応していきます。
5)人権デュー・ディリジェンス:人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施し、事業活動にかかわる人権への負の影響を把握し、防止・軽減を図ります。 
6)是正・救済措置:当社の企業活動において、人権に関する負の影響が発生した場合、影響を受けた方々・または団体等に対する適切な救済措置を図ります。
7)教育・研修:方針への理解促進と、事業活動において実行されるよう、当社の役員および従業員に対して、教育と研修を行います。 
8)報告:権尊重に向けた取り組み及びその進捗状況について、各種報告書やウェブサイト等を通じ、報告していきます。

トランスコスモス人権方針を遵守できるように、コンプライアンス研修やリスクマネジメント研修などを実施し、人権に関する教育・啓発活動にも努めています。 
「トランスコスモス人権方針」を制定しました!

6-3.環境に関する研修を積極的に実施

トランスコスモスの環境経営研修

トランスコスモスでは、環境に関する知識を深めるために積極的に研修を実施しています。
2023年には、元環境省事務次官の森本英香氏がトランスコスモスの環境経営アドバイザーに就任しました。 
森本英香氏には「SDGsオープンラボ特別編」に登壇いただき、環境経営の基本や必要性について知識を深めました。 
森本英香氏に登壇いただいた「SDGsオープンラボ特別編」の内容は、下記よりチェックしてみてください。 
SDGsオープンラボ「いま企業に求められる環境経営」 第1回~気候変動のマグネチュードと日本の対応~元環境事務次官 森本英香氏による講演
 SDGsオープンラボ「いま企業に求められる環境経営」 第2回~環境経営 - ますます重みを増す企業評価~ 元環境事務次官 森本英香氏による講演
 
\トランスコスモスはSDGsのゴール達成に貢献するサービスを提供しています/
トランスコスモスでは、SDGsのゴール達成に貢献する教育関連サービスを提供しています。 
トランスコスモスは文部科学省の直轄事業も受託経験・新経済連盟の「教育改革プロジェクト」などに関わった実績があります。 
教育データの利活用サービスやシステム導入支援サービス、研修サービスなど課題に応じたサポートができます。 
下記で一例を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。 
トランスコスモスの教育関連サービス ~SDGsのゴール達成に貢献する~
 
このように、トランスコスモスではサステナビリティに取り組み、人にも地球にも平等に優しい未来を目指しています。 
今後もオープン社内報を通じて、サステナビリティに関する取り組みを積極的に発信していきます。
オープン社内報は下記よりご覧いただけますので、ぜひ目を通してみてください。 
トランスコスモスSDGs委員会「オープン社内報」


7.まとめ

今回は、サステナビリティの概要や具体的な取り組み内容、企業が取り組むべき理由を解説しました。サステナビリティが企業の経営戦略に必要不可欠な概念であることが理解できたでしょう。 
最後にこの記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
 
〇サステナビリティ(sustainability)とは、企業や社会の利益のみを追求するのではなく環境保護や社会問題にも配慮し経済発展と両立させて、持続可能な未来を目指す概念のこと
 
〇サステナビリティの3つの柱は下記のとおり

環境保護
「限りある資源を大切にする」
・二酸化炭素や温室効果ガスの排出量を減らす
・廃棄物を減らす(フードロス対策・リサイクルなど)
社会開発
「誰もが公平に働ける社会を実現する」
・性別・年齢・国籍・障がいの有無などに囚われず多様な人材が活躍できる
・労働環境を改善する
経済発展
「企業価値の向上・事業創出につなげる」
・主要事業にサステナビリティの観点を取り込む
・サステナビリティと事業の親和性を見つけ新規事業を創出する

〇企業がサステナビリティに取り組むべき理由は次の4つ
1)有価証券報告書でサステナビリティ情報の開示が求められるようになった
2)企業価値が向上する
3)従業員満足度が向上する
4)新しい事業創出につながる

 
〇企業がサステナビリティに取り組むときのステップは下記のとおり
1)自社の課題・ビジョンに合う目標を設定する
2)目標を実現するために必要な行動を考える
3)サステナビリティの必要性や目標達成の重要性を上層部から発信する
4)サステナビリティの成果を可視化し公表する
5)期的に取り組み社内の風土を変えていく

 
サステナビリティは企業価値を向上させて持続的に発展していくために、欠かせない取り組みです。
企業の社会的役割の1つとして、自社に合う方法で積極的に取り組んでいきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!