シリーズ「SDGsの基礎を学ぼう」~ゴール1:貧困をなくそう~【後編】
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こんにちは。トランスコスモス株式会社 DEC統括 兼 トランスコスモスSDGs委員会 編集員のナリタカです。
今回の記事はシリーズ「SDGsの基礎を学ぼう」~ゴール1:貧困をなくそう編~をお届けしています。
前回の「絶対的貧困」に引き続き、SDGsの中に出てくる「貧困」という言葉の2種類のうち、「相対的貧困」を取り上げます。
これは、人として生活するうえで必要最低限のレベルは満たしているものの、ある国全体の水準と比較して貧しい状態、つまり「周りの人と比べて貧しい」状態です。
この相対的貧困も、SDGsがなくそうとしている課題の一つです。
さて、日本は世界の中でも先進国で、豊かな国というイメージを持っている方は多いと思います。そんな日本が、実は貧困問題を抱えていると聞くと驚きなのではないでしょうか。日本が抱えている貧困問題とは、先述した「相対的貧困」です。
日本の相対的貧困率は、2018年時点で15.4%と、約6人に1人が「周りの人と比べて貧しい」状態にあり、これは先進国の中でもかなり高い方に位置します。(2019年国民生活基礎調査の概況より。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html)
日本での相対的貧困の基準は「収入から税金や社会保険料などを引いた、生活のために使えるお金」が年間127万に満たないこととされています。(2019年国民生活基礎調査の概況より)
相対的貧困率の大きさは格差の大きさを表していて、日本も「格差社会」とよく言われますが、格差社会の中を詳しく見てみると、格差の先には貧困があります。
必ずしもお金がある=幸せ、ではないですが、お金があったら回避できた苦難を、お金がないことによって回避できない状態は、人の幸福感に大きな影響を与えてしまいます。
日本では特に高齢者世帯や一人親世帯の相対的貧困率が高いといわれていますが「一人親世帯」という言葉の中には「子ども」が含まれています。
子どもの貧困は日本が抱える社会問題の一つで、日本の子どもの13.5%、約7人に1人が相対的貧困状態にあるとされています。(2019年国民生活基礎調査の概況より)
大前提として、子どもが幸せに暮らせる環境を用意するのは社会の責任です。そして、未来を担う子どもの7人に1人に、その能力を最大限発揮するための十分な発育環境を用意できていないとすれば、果たしてその国の未来は明るいものになりますでしょうか。
日本では「自己責任」という言葉が頻繁に使われてきました。この言葉は「自分で頑張って何とかなる部分は自分で何とかするべき」と言い換えられます。確かに、社会を作り支える大人として当然必要な考え方ですし、この考え方があるからこそ社会が成り立っているとも言えます。
しかし、「どこまでが自己責任なの?」というのは単純に答えが出る問題ではなく、この自己責任によって格差や貧困の存在が正当化されてはいけないと思います。「貧困になったのはその人のせいだから、放っておけばいい」では、子どもの貧困問題もしかり、持続可能な社会とは言えません。
相対的貧困、特に子どもの貧困は私たちが取り組まなければならない課題です。私たちは、自分の力でどうにもならないことからは目を背けてしまいがちです。ですが、みんなで力を合わせて数え切れない数の問題を解決してきた結果、社会は発展してきました。
みんなを動かすのは、問題に気づいた一人の行動です。まずは、自分自身が持続可能な範囲で、できることをすれば良いと思います。
シリーズ「SDGsの基礎を学ぼう」では
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