SDGsオープンラボ 「いま企業に求められる環境経営」最終回 広がる環境経営 ~サーキュラーエコノミー、 ネイチャーポジティブ~
(本記事は2023年5月の勉強会に関する内容です)
こんにちは。トランスコスモスSDGs委員会オープン社内報 記事担当の菅です。
2023年2月1日付で、トランスコスモスの環境経営アドバイザーに就任された元環境事務次官である森本英香氏にSDGsオープンラボ特別編として全4講のオンライン勉強会に登壇いただきました。
■サーキュラーエコノミーの取り組みと考え方
前回の第3回では、脱炭素を単なる義務ではなく、新規ビジネスに繋げる方法と、具体的な企業の取り組みに事例についてご紹介いただきました。
最終回となる今回の第四回では、環境経営の具体的取組例である、「サーキュラーエコノミー」と「ネイチャーポジティブ」を中心にお話いただきました。
サーキュラーエコノミーとは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、資源を有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動のことになります。
こちらの図は「バタフライダイアグラム」といって、サーキュラーエコノミーをわかりやすく図式化したものです。上図の左側は「再生可能資源」(農作物や魚類、淡水、木材、バイオマス等)による生物的サイクル 、右側は「枯渇性資源」(金属や化石燃料等)のテクニカルサイクル、すなわち作って廃棄するという従来型のものづくり工程を表しています。左側の生態系サイクルは資源が枯渇しないように上手に利用するという工程です。
左右各々が多層的にサイクルを描いているのが大きな特徴で、できるだけ内側のサイクルで循環させることが望ましい、とされているそうです。このような経済行動の柱にしていこう、というのがサーキュラーエコノミーの取り組みとなります。
従来の3R(リデュース、リユース、リサイクル)はこの循環に含まれる一要素で、 特に「リサイクル」がテクニカルサイクルにおける最終手段になっている(リサイクルより内側に、他の手段がある)ことも大きなポイントとなります。
これからサーキュラーエコノミーのビジネスモデルが次々と出てくると思いますが、従来の大量生産、大量販売という考え方ではなく、いかに製品の利用頻度を下げ、長期間利用できるかという考えにシフトしていく必要があります。
■生物多様性 ネイチャーポジティブへの取り組み
生物多様性は依然として危機的状況にあり、これは日本についても例外ではありません。これまでの取り組みでは国際的にも、国内的にも十分でなく、生物多様性保全に新たな取り組みが必要だと言われています。
このため、「ネイチャーポジティブ (現状より悪化させない)」をキーワードに、新しいチャレンジ、とりわけ、社会の大きなアクターである「企業(ビジネス)」が生物多様性に目を向け保全に取り組むように、新しいチャレンジがなされています。
その具体的なビジネスとの紐づけとして、気候変動のTCFDを参考にした「TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)」という取り組みが始まりました。TCFDと同様に生物多様性の観点で企業を評価する物差しとして、今後活用されることが期待されています。
例えばフランスでは、世界に先駆けて2022 年より気候変動とともに生物多様性に関する情報開示を投資家に義務付ける法律で制度化されるようになりました。おそらく今後日本を含む諸外国でも、ガイドライン化(ソフトロー)⇒法制度化(ハードロー)されていくことになるでしょう。
生物多様性への取り組みは、脱炭素に比べるとまだまだ途上にあるといえますが、逆に言えば取り組んでいる企業が少ないので、ビジネスチャンスが大きいともいえるかもしれません。
私たちトランスコスモスも、早期にこの問題に取り組むべく、TNFDフォーラムに参画いたしました。今後、自社における自然関連リスクや影響を理解・検討すると同時に、提供するサービスを通じて、自然資本に関する課題の解決にも貢献できるよう取り組みを進めていきます。
▶関連記事:SDGsオープンラボ 第1回~第3回
https://note.com/tci_sdgs/n/nf6c8374b4ade3