令和3年度補正予算~政府の予算はどうやって作られるのか?
皆さん、こんにちは。
公共政策本部兼 SDGs委員会の小野倫太郎です。
今回は、令和3年度補正予算について、お話しいたします。
まず、補正予算と本予算の違いについて、簡単に説明いたします。
本予算は年度の4月から3月までの1年間の予算、補正予算は必要な予算が生じた際に追加で編成される予算とお考えください。
財務省Webサイトに用語の解説がありますので、引用させていただきます。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/reference/statistics/term.htm
<補正予算>
予算作成後の事情の変更によって、その予算に不足を生じた場合、また予算の内容を変える必要が生じた場合に、出来上がった予算を変更する予算。
<本予算>
国の年間予算として当初に成立した予算。別名当初予算。
本予算の編成から成立までの日程については、「成長戦略読み込み会議~急成長分野を具体的に見てみよう!」のテーマでも触れましたが、各省庁から8月に概算要求が出され、現在(12月10日)は、まさに予算編成の作業が大詰めとなっています。年内には令和4年度予算案が閣議決定され、翌年1月の通常国会に提出され、予算についての議論が行われます。
そして、大きな問題がなければ、3月中に予算が成立し、4月より執行されることになります。
これに対し、今回の令和3年度補正予算につきましては、11月19日に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を受けて、12月6日に補正予算案が閣議決定され、国会に提出されました。臨時国会が12月6日から21日までの会期となっておりますので、この会期内に補正予算が成立する見通しです。
それでは、この補正予算の中身を見ていきたいと思いますが、その前には、その前提となった「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」についても触れたいと思います。
この経済対策は、Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の拡大防止、Ⅱ.「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え、Ⅲ.未来を切り拓く「新しい資本主義」の起動、Ⅳ.防災・減災、国土強靱化の推進など安全安心の確保の4つの柱で構成されています。大まかな方向性については、今年度予算、6月に出された骨太の方針、成長戦略の方向性を踏襲されていますが、岸田政権が打ち出している「成長と分配の好循環」の実現のための、「科学技術立国の実現」「デジタル田園都市国家構想」「経済安全保障」の成長戦略、「民間部門における分配強化に向けた強力な支援」「公的部門における分配機能の強化」による分配戦略が記載されているのが今回の経済対策の特徴と思います。
詳細の資料につきましては、内閣府経済対策等のWebページをご参照ください。
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/keizaitaisaku.html
このような経済対策を作成する場合、通常の自民党内のプロセスですと、下記の通りになりますが、今回は衆議院選挙直後、すぐに経済対策を策定しなければならないこともあり、党からの申し入れを受けるまでのプロセスを省き、政府案を政調全体会議で議論することになりました。現在話題となっている18歳以下への10万円相当の給付について、政府の考え方が揺らいでいるのも、通常のプロセスを省略して議論を進めたことが影響しているのかもしれません。
与党内の手続きを経て、この経済対策が11月19日に閣議決定されました。経済対策を実行するための令和3年度補正予算案が11月26日に閣議決定、国会に提出されました。
今回の補正予算は、過去最大の規模となっており、歳出において、総額で約35兆9895億円を計上されています。その内容としては、経済対策に基づき、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」に係る経費に約18兆6059億円、「「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え」に係る経費に約1兆7687億円、「未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動」に係る経費に約8兆2532億円、「防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保」に係る経費に約2兆9349億円が計上されております。
予算の概要は、財務省Webページに記載されております。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2021/hosei211126b.pdf
この補正予算における各省ごとの施策については、各省庁のWebページの「政策」→「予算」に資料が掲載されておりますので、ご関心のある項目など、ご覧いただきたいと思います。ここで全てを取り上げることは難しいので、詳細について調査を望まれる項目があれば、公共政策本部までお気軽にお尋ねください。
来年に入りましたら、通常国会で本予算の議論も行われます。本予算にもご関心を持っていただき、各々の業務に関する項目を見ていただくと、役に立つのではないでしょうか。