お客様の生活情報最適化を図る「動かすブランディング」をめざす新会社を設立。マーケティングが引き起こす社会変容とは?
デジタルエージェンシー事業本部長・真嶋良和さんへのインタビュー。前編では、広告の現場に長く携わってきた真嶋さんの考える広告の魅力や、人材育成で重視していることなどをうかがいました。後編では、2021年に設立され、真嶋さんが代表を務める新会社での取り組みや、真嶋さん自身の今後のビジョンなどについてお話しいただきました。
(前編はコチラ)
■新会社はデータを活用したブランディングに特化
−昨年8月、新会社として「株式会社Brand Operation」を設立し、代表取締役社長に就任されました。こちらはどんな会社なのでしょう?
Brand Operationは「伝えるブランディングから、動かすブランディングへ」をキャッチコピーに、生活者のさまざまなブランド体験を計測・可視化する「ブランドオペレーション」を提供しています。
今後はアナログの領域も含めて、生活者のコミュニケーション基盤がデジタル化していく時代になると思います。そのときに重要になるのが、生活者の行動などを計測して可視化することです。Brand Operationでは、外部パートナーとも協業しながらそのような計測・可視化にフォーカスしたマーケティング活動の実現をめざしています。
−生活者の行動を可視化とは、具体的にどのように実施するのでしょうか?
可視化の方法のひとつに、行動解析ツールを使ったものがあります。そのサービスを利用してくれている人がどういう行動をしているのかがすぐに可視化され、その状態が1年365日続くので、その情報を見ながら、トライアンドエラーを繰り返して最適なコミュニケーションを探っていきます。
たとえば、あるコスメブランドでは、フェイスケアに使用する商品Aを購入した後、ボディケアのための商品Bを購入するお客さまの継続率が一番高いというデータが出ています。それがわかると、フェイス+ボディーの商品をあわせて使う人をどう増やすかを考えたり、最初の入り口を広げるために、商品Aの購入をどう増やすかを考えたりできます。常にデータの分析をしながら、次のアクションを決めていくという流れですね。
−Brand Operationのチームとして今後、挑戦していきたいことはありますか?
社会変容を起こすような新しい挑戦をしていきたいと思っています。現状ではそのための場がないというのが正直なところですが、これからクリエイターと一緒に広告賞などにも取り組んでいきたいと考えているところです。
今はグローバルな広告賞においても、社会課題の解決に対するコミュニケーションが高く評価されています。私たちもそこについていけるように、チャレンジする場を見つけていきたいと考えています。
■社会貢献的な取り組みにもチャレンジしたい
−トランスコスモスの話に戻りますが、トランスコスモスならではの強みは、どんなところにあるとお考えですか?
業務の幅広さではないでしょうか。たとえばマーケティング領域で、広告運用からEC、CRMの運用まですべて対応しているのは業界内でも貴重な存在です。ただ、現状はそれぞれの部署が別々に運用を行っている状況なので、これらをより融合させるような事例ができたら、より強みを発揮できるようになると思っています。
−−そのほかに、真嶋さんが今後取り組んで行きたいこと、未来に向けたビジョンなどあればお聞かせください。
私たちがいま取り組みべきことというのはお客さまにとっての生活情報の最適化を図ることだと思っています。それを本当の意味で実現に近づけることはしていきたいですね。
あとは、先ほども少しお話ししたように、ITやテクノロジーの力で社会課題を解決できる取り組みも進めていきたいと考えています。そのためには、クリエイティビティの力をもっと高める必要があると感じているので、そこをしっかり強化していきたいと思っています。