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企業も活用、ふるさと納税。自治体と企業が協力し、地域活性化を目指します!

返礼品を貰うなど、個人で行っている「ふるさと納税」は、2008(平成20)年4月の地方税法等の改正によって開始された制度。地域の活性化と個人の節税を同時に実現する仕組みとして、多くの人々に支持されています。実は、「企業版ふるさと納税」という仕組みがあるのもご存知ですか?
 
企業版ふるさと納税は、企業の社会貢献活動の一環として2016年に開始。地域との連携を深め、地域振興やCSR活動につなげる新たな手法として注目を浴びています。
 
今回は、企業版ふるさと納税の仕組みやメリット、事例などを参考にしながら、企業による地域貢献活動についてご紹介します!


企業の社会貢献活動と地域の発展が同時に実現

企業版ふるさと納税とは、企業が自治体の地方創生のための取り組みに寄付をした場合に、法人関係税が税額控除される仕組みです。2017年に創設後、2020年度に最大で寄附額の約9割が軽減され、実質的な企業負担は約1割まで圧縮される制度になりました。

企業版ふるさと納税には、寄付だけでなく、人材派遣型もあります。人材派遣型では、専門的知識・ノウハウを有する企業の人材を自治体などへ派遣。地方創生をより充実させ、強化する狙いがあります。

人材派遣型ふるさと納税に取り組んだ企業は、人材と人件費を含む事業費を寄付。派遣された人材は、自治体などの職員として任用され、寄付活用事業や該当プロジェクトに貢献します。

寄付をきっかけに、地域と企業に関係性が生まれる

企業版ふるさと納税は、企業と自治体が協力し合いながら地域の発展と企業の社会的責任を果たせる、という新しい形の社会貢献の方法です。
 
自治体にとっては、人件費を負担することなく専門的な知識を持った人材のノウハウを活用できるというメリットがあります。また、人材が地域と関わりを持つようになることで、関係人口の創出や拡大も期待できます。
 
企業にとっては、通常の事業ではなかなか接点が持てなかった自治体や地域に対して接点をつくったり、それをきっかけに長期的な関係性を作っていったりすることが可能になります。

トランスコスモスも企業版ふるさと納税で地域を支援!

このように色々なメリットがある企業版ふるさと納税ですが、トランスコスモスも自社の拠点がある自治体を中心に、地元企業として地域課題解決に貢献するべく、企業版ふるさと納税を実施しています。
企業のESG(環境・社会・ガバナンス)に良い影響がある活動への支援はもちろん、従業員が一緒に地域課題に取り組めるような事業に対して、積極的に寄付を行っています。

札幌市「障がい者 DXリスキリング事業」

トランスコスモスでは、20年近く前に「障がい者雇用促進プロジェクト」を発足。以来、障がいがある社員のデジタルスキルの習得を促進し、直接的に利益を生み出すような働き方で活躍してもらっています。現在では、障がい者雇用の先進企業として東京都から表彰を受けるまでに至っています。

一方で、当社としては、大都市以外の地方都市でも、障がいがある社員の採用をさらに進めていきたいという思いがありました。

 そこで、障がい者雇用の事業がないという課題を抱えていた札幌市の事業活動に対して、ふるさと納税を実施しました。札幌市の単独事業として、障がい者支援のNPO法人を座長に、障がい者雇用協議会を立ち上げました。

 そして、障がいのある人のデジタルスキル習得を目指す「札幌市障がい者DXリスキリング事業」を札幌市とともに事業化。障がい者向けにプログラミングやwebデサインなどの講習を無料で実施しています。(https://dx-sapporo.com/)受講者の皆さんから好評をいただいており、長期的なデジタル人材の育成のきっかけになることを期待しています。

札幌市障がい者DXリスキリング事業
https://dx-sapporo.com/

大分県「森林Jークレジット創出事業」

大分県は石油コンビナートが主産業であり、県民一人当たりのCO2排出量がワースト1位という課題を抱えています。このような背景から、自治体では脱炭素の取り組みを非常に重視しています。

J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や森林経営などの取り組みによる、CO2等の温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度のことで、経済産業省・環境省・農林水産省が運営しています。
 
この制度を活用してクレジットを創出し、また、創出されたクレジットの活用を通じ、地球温暖化対策への積極的な取り組みのPRや、クレジットを企業等へ売却することで、売却益を得ることができます。

トランスコスモスでは、今回の企業版ふるさと納税を通じて脱炭素の取り組みの成果を可視化できるようにするこの事業を支援することによって、GX(グリーントランスフォーメーション)に関わる別の事業へのかかわりも、自治体との間で増えてきています。また、従業員の意識改革にもつながり、トランスコスモスの大分県内の拠点では、GXに関する資格取得を目指しています。
 
トランスコスモスでは、企業版ふるさと納税などの取り組みを通じて、自治体との連携を深め、社会課題の解決=ソーシャルインパクトの創出を目指しています。

企業版ふるさと納税から生まれる、「三方よし」の展開

企業版ふるさと納税に参画する自治体は年々増加しており、2017年からの7年間で、累計1,361団体が寄付を受け取りました。
 
現在、さまざまな自治体がこの制度を活用しており、サテライトオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースが新設されています。その中には、空き家となっている古民家や空き店舗、廃校などを活用した事例もあります。
 
こうした取り組みを通じて、自治体と企業との連携が深まり、新たなビジネスを創出するきっかけになるほか、住民との交流なども促進。サテライトオフィスなどの地方拠点を設置することで、寄付した企業の従業員満足度や、企業自体の価値向上につながっています。
 
企業が社会的責任を果たすという役割に加えて、SDGsや被災地復興への貢献、企業のPRにもなります。さらに長期的な視野では、寄付を通じて地域の人材を育成することで、自社の人材確保などにもつながるケースもあるという「三方良し」の仕組みです。地域との関わりが深まることで、さまざまな社会課題に取り組むきっかけになっています。


【出典/参照記事リンク】

https://lfb.mof.go.jp/hokuriku/content/003/2021100403.pdf
https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/pdf/satelliteofficesjirei.pdf
https://dx-sapporo.com/


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!