みんなで楽しめる!パラクライミングで障がいを超えたつながりを
パラクライミング・サイトガイド 伊藤勝啓さん インタビュー
みなさん、こんにちは!すっかり秋らしい風が感じられるようになりましたね。外で過ごしやすくなり、この機会に運動習慣をつけたいという人も多いと思います。
特に、今年の夏はパリオリンピック・パラリンピックの開催が大きな話題になりました。トランスコスモスにも、スポーツ競技で活躍する社員が複数名在籍しています。
今回は、パラクライミングのサイトガイドとして大会に出場し、ご自身もクライミング競技をされている伊藤勝啓さんに、パラクライミングの魅力や可能性、パラスポーツの発展についてお話を伺いました。
競うだけでなく、誰もが助け合いながらプレーできる
―パラクライミングの見どころ、面白さを教えてください。
パラクライミングもクライミングも、「ホールド」という突起物を壁に配置して作成された課題に対し、選手がホールドを手がかり、足がかりにして頂点を目指すという競技。この基本的なやり方を基に、スポーツクライミングではタイムを競ったり、高さを競ったりします。
一番大きな特徴は、一般のクライミングと同じルール、同じ課題でパラクライミングも行われることですね。クライミングジムでは、障がいがある選手も、障がいがない選手も、同じ場所を使って練習しています。そのため、障がいの有無に関係なく選手同士の交流が盛んですし、互いに工夫してコミュニケーションを取ろうとする姿も多く見られます。
そうした中で、競技者同士が「どうやったら上手くできるだろうか?」と一緒に課題を考えることも多いです。競うだけでなく、お互いに登り方を教えあったり、励ましあったりする文化があるのも、クライミングの魅力だと思っています。多様なバックグラウンドの競技者が同じ課題に取り組むというスポーツだからこそ、温かい雰囲気が醸成されていると感じています。
選手と二人三脚で競技に参加するサイトガイド
―パラクライミングでのサイトガイドはどのような役割でしょうか。
パラクライミングでは、四肢欠損や筋力障がいなど、さまざまな身体障がいがある選手が活躍しています。サイトガイドは、その中でも視覚障がいのある人のためにあるポジション。ホールドの位置や形状を言葉でガイドするのが基本的な役割です。
クライミングでは体力だけではなく、バランス感覚や、どうやって登っていくかといった作戦も重要。サイトガイドは、選手が今どんなアシストを必要としているのか見極めてガイドを行います。選手の気持ちを想像し、手の置き方が知りたいのか、足の置き方が知りたいのか、あるいはもっと別のガイドが必要なのか、そういったことを汲み取りながらガイドをしています。
そしてプレーの後は、選手と一緒に振り返りをして、より良い結果が残せるように情報共有をします。選手と二人三脚で競技に臨むので、選手をメンタル面からサポートすることも多いですね。
もっとみんなでパラクライミングを楽しめるように
―2028年のロサンゼルスパラリンピックでパラクライミングが追加競技になるそうですね。今後の目標を教えてください。
先ずはパラリンピック出場を目指して、選手と一緒に練習を重ねていきたいです。パラリンピック競技に採用されるにあたって、ルール変更や参加資格の厳格化などの可能性があると思います。そういった変化にも柔軟に対応していきたいですね。
実は、日本はパラクライミングの強豪国です。これまでも数々の日本人選手が国際大会で優勝するなどの実績を重ねてきました。一方で、パラクライミングの選手やサイトガイドは、本業の仕事と並行して、日々練習に取り組んでいます。そのため練習時間の確保や、遠征費用が多くの選手にとって課題になっているのも現状です。パラスポーツの認知が広がることで、選手の負担軽減のための働きかけが進むことも願っています。
そして将来的には、競技人口がもっと増えると良いなと思います。クライミングはまだまだマイナースポーツ。ですが、障がいも年齢も関係なく、みんなが同じルールで楽しめるという他にない魅力があります。クライミングを通して、障がいのあるなしに関わらず、気軽な雰囲気で交流できる機会が増えることを期待しています。
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伊藤さんがクライミングを始めるきっかけになったのは、全国に広がる交流型クライミングイベントへの参加だったそうです。障がいがあってもなくても楽しめるイベントなので、クライミングに興味があるという方はぜひチェックしてみてください。
交流型クライミングイベント(東京)
毎月第二月曜日に18時~21時(途中の入退場可能)
NOBOROCK高田馬場店にて
主催・NPO法人モンキーマジックHPより(https://www.monkeymagic.or.jp/join)
また、全国各地でパラクライミングの大会が開催されています。伊藤さんをはじめ、間近で選手たちの活躍をご覧になりたい方には観戦もおすすめです!
・ 2024パラクライミングジャパンシリーズ第1戦 倉吉大会
日時:2024年10月26日(土)予選 10月27日(日)決勝
場所:倉吉スポーツクライミングセンター(鳥取県倉吉市)
https://kuratai.jp/about/facility/climbing/
・ 2024パラクライミングジャパンシリーズ第2戦(日本選手権)秦野大会
日時:2025年3月15日(土)予選 3月16日(日)決勝
場所:神奈川県立 山岳スポーツセンター(神奈川県秦野市)
https://www.kanagawa-park.or.jp/sangaku-sc/
※日程、会場につきましては止むを得ず変更となる場合があります。ご承知おきください。
一般社団法人日本パラクライミング協会HPより(https://www.jpca-climbing.org/%e3%80%902024%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%83%91%e3%83%a9%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%91%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%ba-%e3%82%b9%e3%82%b1/)
【参考・関連サイト】
・トランスコスモスの障がい者雇用への取り組み
・トランスコスモスの障がい者採用
・NPO法人モンキーマジック
・倉吉スポーツクライミングセンター
・山岳スポーツセンター
・一般社団法人日本パラクライミング協会(JPCA)