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サステナブルな行政実現に向けて~DXの役割とは?

みなさまこんにちは。トランスコスモス公共政策本部の太田です。

この数年よく耳にするDX(デジタルトランスフォーメーション)について、特に行政部門におけるDXがどのように持続可能な社会につながっていくのかについて考えてみました。

経済産業省「DXレポート」※1には「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を活用して新しいビジネス・モデルを創出し、 柔軟に改変できる状態を実現することが求められている。しかし、何を如何になすべきかの 見極めに苦労するとともに、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムも足かせとなっている。 複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、 2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある」と書かれています。

また、2030年には15歳以上65歳未満の生産年齢人口比率が6割以下となり、高齢者層の割合が高まります。労働需要に対する人手不足は、644万人とも予測されています。

あ図1

(出典)内閣府令和三年度版高齢社会白書

※1(経産省DXリポート)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

内閣府令和三年度版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf

今回は、地方公共団体におけるこの二つの課題についてお話したいと思います。

コロナウィルスの影響により、まん延防止等重点措置、緊急事態宣言等、様々な感染防止のための取り組みがあり、飲食店等の休業に対する協力金や、世帯ごとに給付金が支払われたりしました。昨年にはワクチン接種が始まり、収束を見据えた経済活動再開に向けた接種証明や陰性証明の発行などが行われることになりました。

住んでいる地域により支払い時期やワクチン接種の予約方法に違いが起きるなど、コロナ前から抱えていた行政におけるデジタル化の遅れを指摘する報道も多くみられるようになりました。

引っ越しをして住んでいる地域の役所に行くと、転入届だけでなく、あらゆる手続きを複数の窓口に行って行う必要があります。その都度、氏名、慣れない新しい住所や子どもの生年月日などを書かないといけません。やっとの思いで手続きが終わり、家に帰ってから一つ手続きを忘れていた。という経験をしたことがあると思います。引っ越しは一人にとっては一つのライフイベントなのですが、行政上の手続きがそれぞれに対応した別々のシステムで行われているためにこのような事態が発生します。

DXを進めると、住民が全員スマホやパソコンから手続きしなければいけなくなるということではなく、簡単にいうと「2025年の壁」にも書かれていた複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムから、標準化・統一からされたシステムに変更し、マイナンバーカードを普及させることにより、行政手続きのオンライン化を促進し、行政の業務についても自動化できるものを増やしていくというものです。

今後労働生産人口の減少が予測される中において、民間企業だけでなく、行政職員の確保も現在と同水準と言うわけにはいきません。DXを進めることで行政職員は住民サービス向上に向けての施策の実行や、オンライン手続きを行うことができない高齢者に対して窓口での接客や講習の実施などに時間を割くことができるようになります。また、介護などの福祉の現場や保育や学校などの教育現場においても、事務的な業務の時間が短縮され子どもたちと向き合う時間の確保につながります。職員の働き方改革は働きがいにもつながり、より良いサービスが生まれてくることになると思います。

これからは住民がどのようなタイミングでどのようなサービスが必要なのか、そのサービスを受けるためにはどのような手続きが必要なのか、誰もが簡単に情報にアクセスできる時代だからこそサービスを提供する行政側もUI・UXの視点が必要になってきます。

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